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Color Tree

主に雑記、好き勝手、書きたいことを書いてみる

改札抜けたらバッグの中でヤツが鳴いていた 【ヤツとの遭遇】

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夏もやっと中盤に差し掛かりましたが、まだまだ暑さが柔らがずエアコンがなければ厳しい今日この頃ですね。さて、先日私は世にも恐ろしい出来事に遭遇してしまいました。

どんな出来事なのかというと、夏の風物詩である鳴くのが取り柄な「蝉」の襲撃?を受けたのです。

 まず断っておきたいのが、私は虫の類いが得意ではありません。家でゴキブリでも出ようものなら、自分の家を放棄して安全な場所へと逃げ出したい衝動に襲われます。

ただ、今は妻も息子もいて、妻はもっと虫がダメなので、泣く泣く家長の私が退治するぐらいであるということです。

それを踏まえて、こちらを読み進めていただきたいです。

 

背中から奇妙な鳴き声が…

その日は外で打ち合わせがあり、打ち合わせ終わりで直帰という予定でした。電車の時間より少し早く駅に着いたので、ベンチで一息入れてから改札を抜けたところで背中の方から「ジジッ」という音が聞こえました。

その時は、「そういえば道すがらまだまだ元気に蝉が鳴いてたなぁ」ぐらいにしか気にかけていませんでした。しかし、改札を抜けてホームへの階段を降りようとした時にまた背中で「ジジッ」

「えっ?」

流石になにかおかしいなと感じました。さらに階段をもう一歩降りると背中からまた「ジジッ」

この感じはきっと蝉が肩か背中に止まってる、そう思った私は、恐る恐る後ろを振り返りました。「ブーン!」なんて何かが飛び立つ様子もなく、何の影もありません。

「気のせいなのか?」

何かがおかしいという違和感を全力で押し殺しつつ、気のせいだと信じ家に繋がるホームにたどり着くために階段をもう一歩降りると…

また「ジジッ」とひと泣きが聞こえました。

「これは完全にヤバイ………」

 私は何が起きているか気付き始めていました。確実に蝉が俺のどこかに潜んでいる。

この後は切ない確認タイムです。セミがいることは確定、ではどこにいるのか?場所を判明させるためのものすごく後ろ向きな気持ちでもう一歩………

いつもタスキ掛けにして背中にかるっているバッグが揺れる度に「ジジッ」っと蝉の鳴く声がする。ブワッと全身鳥肌が立ちました。

「なるほど…そこにいらっしゃいましたか……わかりました……」

迅速にかつ衝撃をあたえないように細心の注意を払いつつ静かにカバンを身体から外し階段に置き、目視での確認を試みます…

「ああっ…」ため息のような力ない声が漏れました。

ちょっとだけ、そう「ちょっとだけよ…」と加トちゃん風に言ってみましたが、バッグのジッパーが少し開いていたのです。

ここから蝉が入ったことは明白で、先ほどベンチで休んでしまった自分をグーで殴りつけてやりたい気持ちでいっぱいになりました。

 

蝉確定!ヤツとの遭遇

30秒ほど放心していましたが、このままでは虫が怖い私はお家に帰ることができません。電車の時間も迫りつつあります。どこかのタイミングで勇気をふりしぼり、蝉をバッグからリリースしなくてはいけませんでした。

「なんて絶望的なミッションなんだ…まるでミッションインポッシブルじゃあないか…」

とは言いませんでしたが、私にとってかなりハードルの高いミッションであることにかわりはありません。意を決してバッグの口を広げます。

「ヤツだっ!」 

目が合いました。ヤツは奇跡的にノートやもろもろの物の間にできていた空間から私を見ていました。バッグを揺らすと「ジジッ」と鳴き声とともに飛ぼうとするのですが、隙間が狭く引っかかってうまく飛んでいけない様子。何度かバッグを揺らすも同様の結果で、どうしても外に飛び出せないのです。

電車の時間が迫る…どうしよう…

途方に暮れそうになったその時でした。ヤツがのそっと動き出したのです。狭いところを歩いて抜け、広い場所に出てから飛び立つつもりだとすぐに私はピンと来ました。

『蝉の外へ出るんだという前向きな感情』と、『人間の外へ出てくれという後ろ向きな感情』が合致し、もうずっと前から協力してきた仲間のような感覚でした。

阿吽の呼吸で私はバッグの口をできる限り広げ、ヤツの通るスペースを確保しました。

ヤツも「OK!OK!」と言った様子で、一歩一歩しっかりとした足取りで出口に向かって進んでいきます。

ついにバッグの外に出ることができ、ヤツは飛び立って行きました…

「良かった…」ホッとした私はいつの間にか、怖かったはずのヤツに残りの短い命を精一杯生きてくれよと心の中でエールを送っていました。

こうしてなんとか家路につくことができたのですが、ひとつ気になるのはホームで電車を待っていた他の人からどう映っていたのかですね。

かなり変な人だったでしょうね…