この曲こそが神曲。魂が込められた「祷リ踊レ」を聴くべき【ストロベリーナイトサントラ】
フジテレビドラマ「ストロベリーナイト」のサントラに収録されている『祷リ踊レ』という曲を聴いた事はあるだろうか?
この曲を深く知るために、まずはこのストロベリーナイトというドラマの概要が必要になる。
過去に婦女暴行を受けたトラウマを持つ主人公、ノンキャリアから成り上がった姫川玲子(竹内結子)は警視庁捜査一課で唯一の女性班長として多くの部下を従えて凶悪で残忍な殺人事件を解決していく。
グロテスクな表現が多く、サイコ的な犯罪を描くサイコスリラー的なドラマである。
ドラマを見たことのある人ならば、曲を聴けばこの曲かと解る方も多いのではないだろうか?
こういうホラー系やサイコスリラー的なドラマ・映画のサントラ曲で、主題曲以外で印象に残るものは少ないように思う。なぜかというと低音を響かせたり環境的な音で不安や恐怖を煽る楽曲には、ほとんどメロディーが必要ないからである。
しかしながら、この「祷リ踊レ」は主題曲ではないのにもかかわらず、非常にインパクトがある。
「ストロベリーナイト」のサントラ自体もかなり秀逸であるのだが、その多くの楽曲たちからひとつふたつ頭を突き出しているこの曲。
私も初めてドラマを見ながらこの曲を耳にし、なんて曲を作るんだと衝撃を受けた事を非常に鮮明に覚えている。
音楽の常識を根本から覆されるような、まさに神がかっている曲だと思えたのである。
「祷リ踊レ」という曲
《『祷』 トウ/いのり・いのる》読み方は「イノリオドレ」ということになるだろう。
不快な叫び声であるような嘆きの声であるような、また神々しい神が舞い降りてくるような降臨時の賛美歌のようにも取れる歌声、微妙で絶妙なイントロに、お経のようなつぶやきが混じり合っていき段々とカオスになっていく。
地獄とキリスト教の教会のステンドグラスと仏教の寺院の映像がグチャグチャだけれどもなんとも綺麗に混ざり合って頭に浮かんでくるようなイメージと言えば解りやすいだろうか?
混沌としながら混ざり合った音楽は刹那にスッとブレイクし、叫びのような声だけが残り、その声がラップしているようなスキャットしているようななんとも言えない展開を見せる。
ふわりが進むにつれ次第にリズムが入っていき、叫びのスキャットがリズムに乗っていく。
…とんでもない曲である。
何を思って曲を書けばこのような曲になるのだろう?このような発想ができる事に賛辞を送りたくなる。
不安を煽るだけではなく安らぎのイメージも曲に入っているのだから驚きである。
ドラマに重ねるならば、殺された被害者の殺害までの苦しみと、死に至り苦痛から解放されたというイメージと重なるのは深読みしすぎであろうか?
さらに一度耳にするとあの叫びのような声が頭から離れないぐらいの衝撃。
猟奇的な殺人事件の不快さや常軌を逸している感じとピッタリとマッチしているように思える。
ドラマの映像に乗っかったこの曲を聴けば、この曲の秀逸さがより解るはずである。
ぜひ一度ご覧いただきたい。
フジテレビ系火9ドラマ「ストロベリーナイト」オリジナルサウンドトラック
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